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2• 練習で試合は見えない はじめ

今日はコーチング、スポーツ指導の話をします。コーチ、選手、指導者が心にとめておくべき事を運動学習の観点から見ます。


1「学習はすぐわからない」
例えば、月曜日に部活である練習をしました。次の日、ある生徒たちは前の日と変わらなかったり、他の生徒はちょっとよくなってたり。。。生徒の中には学習した人としなかった人がいます。でも、この「学習」と言う現象は脳の中で起きる事なので、私たちは直接見る事はできません。
だから、私たちはretention(維持) testをして間接的に「学習」を推し量ります。やり方は至って簡単。まず新しい技術を教える前にどれだけ出来るか記録しておきます(pretest)。練習した技術を次の日や1週間後にもう一度テスト(post-test)してみて、練習前と比較します。このように、私たちは目に見えない「学習」を結果によって推し量るのです。

*私たちも1日後に習った技術を維持していたら「学習した」と言えるのか、1週間後なのか1年後なのかはわかりません。もしかしたら定義的に10年後にテストしたほうがより正確に「学習」を推し量れます。しかし、それでは科学はいつまでたっても進まないので、1日、3日、一週間、などと決めてやっているだけです。

2「学習は見えない」
物を教える時には色々な方法があります。やってみせたり(demonstration)、プロのビデオを見せたり、言葉で指導したり(instruction)、生徒がやったパフォーマンスを見たあと、指導をしたり(feedback)。運動学習では、どういった方法が一番良いか、と言う事を研究しています。

その中で多くの研究トピックでよく見る結果があります。

例えば3種類の指導法をバスケットのシュートの成長で調べる研究があるとします。
3種類の違う情報を与え、どの指導法が一番効果的かを練習で何十回、何百回と練習します。みんな正面から100回シュートしたとしましょう。選手は指導法Aを受けたグループ、指導法Bを受けたグループ、そしてCと3つのグループに分かれます。みんな同じように練習して同じ数練習します。唯一違うのが指導法です。

2日後にシュート30本をもう一度打ちテストします = 2日前に習った事がどれだけ維持されているかを測定。
その後、練習ではしてないけど、似たようなテストします(応用能力、トランスファーテスト)。例えば斜め45度からシュートを打つ。

これが基本的は研究のパターンです。

結果を見た時、練習中はインストラクションAが一番良い結果を出し(60%としましょう)、インストラクションCが一番伸び率が悪かった(40%)。しかし、2日後、学習能力テストをした時に、Aの成績は50%まで落ち、Cの成績が55%まで上がっていた。さらに応用テストをするとAのシュート確率は30%でCの確率は50%だったとしましょう。
この場合練習では指導法Aの方がよかったのに、習った事を維持する力はCの方がよかった事になり、さらにCの方が応用力がある指導法である事がわかります。

これは架空の研究ですが、こういった事は実は研究では当たり前のようにあるのです!!

コーチの皆さんも見た事があるでしょう。練習で他の選手より良い動きをするのに、試合になると全くだめ、という選手。つまり、そう。今コーチであるあなたが目の前に見ている事が全てではない、と言う事なんです。だから、練習で効果があるからその練習が絶対に良いかどうかと言うのはわからないのです。

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