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1•運動学習(モーターラーニング)について

今日は、運動学習(モーターラーニング)について基本的な事を語りたいと思います。

1:運動学習とは
まず、運動学習(motor learning)という学問は、人がどうやってmotor skills、言わば身体の動かし方を学ぶかというのが運動学習です。

モータースキルと言うのは、
1)スポーツで使う身体の動かし方(走る、飛ぶ、投げる、打つ、など)もそうですが、身体、身体の一部を使って目標を達成する全てをいいます。
2)ピアノを引いたり、シャツのボタンを止めたり、歩いたり、物を持ったり。。。こういった普段の生活で使っている技術もモータースキルです。

つまり、私達の脳が筋肉に信号を送り体の部分を動かし目的を達成する、その全てをモータースキルとしています。

2:運動学習がさらに研究していること
運動学習の研究のゴールは大きく分けて2つ。1)脳がどのようにモータースキルを学ぶかそのメカニズム(なぜ、どうやって、など)。そして、2)どういった練習や指導がより効率的かつ効果的に物事を学ぶかを研究しています。

例として、どういったインストラクション(コーチが選手や生徒などに伝える言葉)が一番効果的か、どういった練習内容(トレーニングプログラム)が一番効果的か、デモンストレーション(見本)やフィードバック(コーチが選手がプレーした後にかける言葉)の効果などが主に研究されています。

これを聞くと、スポーツ心理学と似ています。そうです。運動学習はスポーツ心理学同様、心理学から来ているのです。その違いは、運動学習はモータースキルが(指導法等により)どう変わるか、に特化していて、指導法によって心理がどう変わるかはスポーツ心理学の分野、と言う事です。


• パフォーマンス、学習能力(学習維持)、トランスファー(移行)能力
運動学習を語る上で3つの重要なキーワードがあります。

1)学習:まず学習とは「相対的永久の学習能力」を意味します。つまり、一度学ぶと忘れない事をこの分野では「学習」と言います。

例)一度自転車を乗る事を学ぶと、5年乗っていなくても乗れますよね。これは、あなたが自転車を乗るスキルを「学習」したからです。では自転車を乗る練習をしたとします。

ここで注意するべき点は、5年後自転車に乗るとフラフラして5年前に乗れた時より下手になっているでしょう。しかし、乗れている = (乗れなかった状態から)成長している → 学習した、という事です。つまり、パフォーマンスが学習する前より上がったいるかどうかが「カギ」なんです。

2)パフォーマンス:練習中の一回一回の結果(乗れた、乗れなかった、ちょっと乗れた)やその波、変化、これをパフォーマンスと言います。

学習とパフォーマンスのまとめ:一度乗れたといって、次の日自転車に乗ってみたら、また乗れなかった。これは僕たちは「学習した」とはいいません。つまり、忘れない技術を習得した時、「学習」と言います。

4)トランスファー(移行):これは習得した技術がいかに移行されるかを表します。例えば、自転車を乗れるようになった。では、練習していた場所とは違う、草の上を走ってみました。もしくは練習とは違うマウンテンバイクに乗ってみました。その時、どれぐらい習った技術が違う環境や似ている技術を応用できるか。これをトランスファー能力と言います。

この基礎知識で言えるのは、3つの技術は別に考える必要がある、ということです。運動学習の研究者にとって、練習中にどれだけうまくいこうが、実践や試合で使えない練習は(つまり学習効果がない練習)「良い」練習とは言いません。つまり、練習でうまくいった = 試合でうまくいく、ではない!と言う事なんです。


この基礎を元にこれから効率的効果的なコーチング、練習方法、指導方法について深く話して行きたいと思います。

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