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14•フィードバックについて(5):コーチ、先生、トレーナーの質を上げるため

こんにちは
今日はフィードバック最終弾、5弾として、大切な理論の話をしたいと思います。

Guidance Hypothesis (ガイダンスの仮説)
これはフィードバックについて大切な理論です。
この説は、フィードバックを毎回与えると、練習でのパフォーマンスは著しく上がります。1〜4でわかるようにコーチがフィードバックを与えることによって生徒、クライアント、選手などが技術を向上させる事ができる、と言うのははっきりと研究でわかっています。

しかし、その強い効果ゆえ、フィードバックを練習で与えすぎると、選手はそのフィードバックに頼ってしまい、その時に築き上げるべき大切な自分の「感覚」を鍛える事をしなくなるのです。

その結果、のちの学習能力テストや応用能力テストでフィードバックなしでパフォーマンスをすると結果が著しく落ちる、と言う事がわかっています。
逆にフィードバックが少なかった選手は練習中のパフォーマンスはフィードバックを毎回もらっていた選手と比べて著しく悪かったものの、フィードバックなしの学習能力テストや応用能力テストで著しいくパフォーマンスが上がっていたという逆転現象がおきます。

だから、「フィードバックはあげすぎない」がルールとしてあります。選手が自分で問題を解く力、自分の感覚で修正する力をつける事が、コーチの役目なんです。

そして、これはブログの「練習で試合は見れない」のシリーズで話しましたが、練習でうまくできない=試合でうまくできない、ではないと言う事です。

ではどうすればいいか。

1)頻度を下げる。ランダムにあげる
フィードバックの頻度を3回に一回5回に一回と徐々に減らしていく。例えば3回に一回フィードバックを与えるなら、残りの2回は自分の感覚を頼って修正しないといけない。
しかし、これを初心者に一気に5回に一回だと、初心者はどこをどうしていいか、どこに集中していいかもまだわからないので、頻度を高めに上げるといいです。さらに確実に3回に一回ではなくランダムにあげるのが効果的なんです。ある一定のペースであげると、選手は3回に1回というのを「1」として捉えてしまうから、ある意味で「毎回」フィードバックをあげている事になってしますのです。

2)フェイディングテクニック
繰り返しになりますが物事を習う始めの方は教えることがあるし、感覚といっても初心者はどれが正解もわからないので頻度は多い方が実は伸びます。そして、だんだん頻度を3回に一回5回に一回7回に一回のようにおとしていく事によってより効果があるようです。

3)頼まれた時にだけフィードバックをあげる
これはまだ紹介していない、self-regulationという違うトピックとの混合の効果なのですが、例えば「教えて欲しい時に聞いて」とやっている側がいつ教えてもらうかを選ばせてあげるというテクニックです。まず、初心者は頻繁に聞きますし、上達するとその頻度は自然に下がることが分かっています。自然のフェイディングテクニックが使えます。さらに「自分が選ぶ」という権利を与える事によって練習の質と言うのは、グン!と上がります。

何かを指導する時、フィードバック1〜5を頭に入れて練習のプランを立ててください。


2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    motor learningについて勉強をしており、こちらのブログにたどり着きました。自分の知りたかった情報があり、とても嬉しかったです。
    貴重な記事に感謝いたします。

    もっと詳しくお聞きしたいと思っているのですが、どちらにご連絡すればよろしいでしょうか?
    お教えいただけますと幸いです。

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    1. Ryokoさん、
      ありがとうございます。
      m_yamad2@uncg.edu にメールしていただくか、別にここのコメントに書いていただいても大丈夫です!

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