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その3:その1、その2の応用。

こんにちは
この前はその1で筋肉が刺激、収縮されるメカニズムを、そしてその2で筋繊維のタイプについて話しました。では今日はここまでの知識を普段の筋トレや運動にどう活かせるかを少し話したいと思います。

まずはその2の最後で話しましたが、筋力の成長には神経の成長と筋肉そのものの成長と2つある、ということです。神経の成長が筋繊維そのものの成長より速く起こるので、トレーニングを始めた際、急激な成長が見込めます。しかし、その後「壁」にぶつかるようにゆっくりとした成長が始まります。
だから、今まで通り伸びなかったとしてもそれはトレーニングの内容どうこうより、もっと生理学的な事で当たり前の事だと言う事を心がけてください。

その次に言える事は、モーターニューロン(運動神経)と筋肉の関係です。その1で紹介したように、筋肉はモーターニューロンによって刺激され、体にはたくさんのモーターニューロンがあります。一つのモーターニューロンは決められた筋繊維しか刺激しません。そのモーターニューロンが他の筋繊維を刺激する事はありません。
 つまり、あたなが遅筋(持久筋)を鍛えたいのに速筋のモーターニューロンを刺激していても、遅筋はほとんど刺激されることはありません。目的と違った筋トレやトレーニングをすると効果があまりない、と言う事です。

では、どのように遅筋、速筋を刺激するのでしょう?あなたが頭で「速筋を刺激しろ!」とどんなに念じても速筋だけを刺激する事はできません。その方法は、duration (時間)とintensity (強度)です。その2を思い出してください。遅筋の特徴は繰り返し収縮する事ができる、ということです。例えで言うと、マラソンを走る、腕立てを100回する。こういった時遅筋が使われます。何が言いたいかというと、刺激する筋肉を直接操作する事はできませんが、今言った2つを操作する事で勝手に体が遅筋を刺激したり、速筋を刺激したりする、ということです。
 運動強度とは、自分が1回持ち上げられる最大重量を持ち上げる筋トレの運動強度はマックスで、それ以下の重量で(例えば最大の90%、60%)運動する時、それは低い運動強度と言えます。走る事で言えば、100Mを自分の出来る限り速くで走る事は100%の運動強度、ジョギングなどはそれより低い運動強度ですね。
 運動強度が上がれば体は勝手に速筋を鍛えます下がれば勝手に遅筋を使います。実は単純なメカニズムで、100Mをマックスで走っている時、筋収縮は早くないとその運動ができません。だから、脳が勝手に速筋を使います。さらに、それだけ爆発的な力を出すと言う事は筋力が必要となります。だから速筋が使われます。
 筋トレもこのように、速筋を鍛えたければ重量を重くする事によってそれが達成されます。遅筋を鍛えたければ100%よりも軽い重量で繰り返し行うことです。つまり、速筋の特徴、遅筋の特徴に合わしてトレーニングをすれば良いわけです。
 
筋トレをしているのに効果がでないという人の多くはこの強度と時間の関係性を無視したトレーニングをしています。
例えば、筋力を上げたいのに軽い重量で何回も何回も繰り返す(腕立て)。腕立ては胸筋の持久力は上がります。しかし、筋力は上がりません。なぜなら、運動強度が低いため遅筋が刺激されているからです。だからダンベルプレスやベンチプレスを高い強度(重い重量)でする必要があります。

ここで最後に、2つ言っておくべき事があります。
1つは、その2で紹介した3つの筋繊維(遅筋、中間筋、速筋)。これは0、100ではないと言う事です。割合なんです。つまり、運動強度が高い時80%の速筋が使われていて、15%が中間筋で、5%が遅筋。歩いている時は80%が遅筋で15%が中間筋で5%が速筋。のように。つまり、腕立てをしたからベンチプレスで筋力が絶対に伸びない、というわけではありません。速筋もある程度刺激されているからです。でも、より効果的にトレーニングをしたければ、上で紹介した時間と強度を操ってトレーニングをする事です。

もう一つは、Order principleというのがあります。オーダーはここでは注文ではなく順番。順番の法則。つまり、筋肉は遅筋から順番に、中間筋、そして速筋と刺激されます。ですから、筋トレの効果を一番上げたければ、重い重量を上げる事だと言う事が示唆されます。でも、この順番は爆発的な運動をする時は無視される可能性がある、という事も言われています。つまり、100Mで一気に走る時、クリーンやスナッチのような爆発的な運動をする時は、一気に速筋を刺激するかも、と言うのが今の科学の見地です。




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